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民話の森叢書2 シャルル・ペローとフランスの民話

樋口淳(編集 | 翻訳), 樋口仁枝(編集 | 翻訳)
発行:民話の森
販売:国際文献社

ISBN:978-4-910603-15-5
C0098 四六判 328ページ

¥2,420

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本書の内容

三百年前のヴェルサイユ時代に、昔話はどう語られていたのか?お話好きのルイ十四世を始めとする宮廷人の聞いた昔話の世界を再現
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 ペローの残したわずか11話の昔話は、なぜ世界中で愛され続けているのでしょうか?もちろん、それはディズニーのおかげです。テーマ・パークの中心にそびえるシンデレラ城と眠れる森の美女の城なら誰でもしっています。でもペローの語る「青ひげ」や「ロバの皮」は、ペローの生きた今から300年以上前のヴェルサイユ時代にも、民衆の間に語り継がれていたのです。

 本書は、ペローが聞き、語った(再話した)昔話の世界を再現しようとする試みです。第1章では、フランス各地の民話を国際比較の分類項目に従って紹介し、第2章では、後に『ペロー昔話集』の形で編纂される11話の元になった民話を紹介します。この比較によって『ペロー昔話集』成立の経緯や意義が明確になります。

―あとはなにもかんがえず楽しむこと!
もちろん、お話し好きのルイ14世も、眠れない夜には楽しいお話に耳を傾けていたことでしょう。
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目次

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まえがき

第1章 語りによるフランスの民話
Ⅰ 動物民話
 1.バシウーの狐とオトンヌの狼 
 2.アルパリオニュ 
 3.母さん山羊と子山羊たち 
 4.三羽のちいさなメンドリ
 5.ロバとその仲間たち 
 6.動物が話をしていたころ
 7.牝山羊

Ⅱ 魔法民話
 1.熊のジャン 
 2.魚の女王 
 3.ピピ・ムヌーと空飛ぶ娘たち 
 4.アルルの大工 
 5.白い牝猫 
 6.ちいさなカラス 
 7.娘と七人兄弟 
 8.二つの瘤 
 9.ボルドーのジャン 
 10.そら豆
 11.三つの贈物
 12.ジャンの馬鹿
 13.アンジュリーナ
 14.半分ニワトリ
 15.ちいさなオンドリ

Ⅲ 宗教的民話とノヴェッラ
 1.洗濯 
 2.神さまと牛飼い
 3.悪魔に売られた子
 4.なぞときの王さま
 5.領主と司祭 
 6.女は悪魔より賢い 
 7.ラミナとお婆さん
 
Ⅳ 笑い話と形式譚
 1.七人のオーヴェルニュ人 
 2.二人のオーヴェルニュ人 
 3.ジャン=バティストの取りかえっこ 
 4.泥棒の名人 
 5.占い師
 6.ルネと領主
 7.仕立て屋と巨人
 8.セル・マロー 
 9.二羽のウズラ 
 10.こぶた
 11.赤いオンドリの話.
 12.川を渡る羊たち

第2章『ペロー昔話集』とフランス民話の語り

 1.グリゼリディス―民衆本の「グリゼリディス」 
 2.ロバの皮―ロバの皮っ子
 3.愚かな願い   
     ―酢のビンの中の夫婦 
     ―四つの願い
 4.眠れる森の美女   
 5.赤ずきんちゃん
     ―娘と狼
     ―お婆さんの話
 6.青ひげ―赤ひげ 
 7.長靴をはいた猫
     ―コスタンティーノと猫
     ―マルコンファールさん 
 8.妖精たち―井戸のなかの娘宿
 9.サンドリヨン―灰かぶり
 10.巻き毛のリケ 
     ―ベルナール嬢の「巻き毛のリケ」 
     ―リカベル・リカボン 
 11.親指小僧―親指小僧・人食い鬼と子どもたち 

あとがき ―ペロー昔話集と民衆の語り―
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【叢書編著者解説】特別掲載

民話の森 樋口淳
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 三百年前のヴェルサイユ時代に、昔話はどう語られていたのか?お話好きのルイ十四世を始めとする宮廷人の聞いた昔話の世界を再現する。
昔話の学術的な記録は1812年の『グリム童話集』に始まったと言ってよい。しかしその百年以上前の1697年に刊行された『ペロー昔話集』は本格的な昔話記録と再話の嚆矢と言えるだろう。「赤ずきん」も「シンデレラ」も、そしておそらく「眠れる森の美女」もペローなしには昔話の世界に語り継がれることはなかったに違いない。シンデレラ城や眠れる森の美女の城がないディズニーランドは考えられないだろう。青ひげの髭が赤かったら、誰が「青ひげ」の物語の恐怖を語っただろうか?赤ずきんがかわいい「赤頭巾」をかぶっていなかったら、そしてベッドの中で狼の毛むくじゃらな体や大きな口について細か尋ねなかったら、誰が赤ずきんの存在に気がついただろうか。これらは、みんなペローが「がちょうおばさん(マザー・グース)から聞き取って、独自の工夫を重ねたペローの再話のおかげである。

 しかし、これとまったく同じことがグリムについても言えるだろう。グリムは最終的に二百話あまりに語りの記録を絞ったが、そんなに都合よく面白い話ばかりを聞いたとは思えない。昔話の聞き取り調査をしてみれば分かるが、活字にして楽しめる話を二百も集めるのは至難の業だし、語り手の語った通り記録していたら、とてもそうはいかない。柳田國男の『遠野物語』も同じことで、佐々木喜善の話を「一字一句をも加減せず」記録したというのは大嘘で、彼は「(自分が)感じたるまま」に書いたのである。
ペローは、グリムや柳田よりも正直で「語りしままに」記録した、などとは言わないし、語り手の話に独自の工夫を加えたことを隠さない。

 考えてみれば、これは当たり前の話で昔話の語り手たちも、聞き手の注意を喚起するために、さまざまの工夫をこらしている。これは、お爺さんやお婆さんが寝床で孫に語る時にもよく起こることだ。よい語り手は聞き手の反応を確かめながら語るし、そうでなければ孫はすぐに退屈してしまう。
 ペローの場合は、ヴェルサイユの宮廷人やサロンの才女たちに向かって書いたのだから、その演出も凝っているはずである。しかし、ペローの記録した話と再話は、昔話の語りの基本にきわめて忠実である。本書は、ペローが聞き、語った(再話した)昔話の世界を再現しようとする試みである。

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