現代社会学理論研究 第18号: 【特集】生(ライフ)の現場と社会学理論
日本社会学理論学会編集委員会 (編集)
ISBN : 978-4-910603-30-8
共同性が前提できない地点から、プロセス・苦闘を想像することで理論を理解し、再生させるために。「生きづらさ」「ヒトでないもの」など、生 (ライフ)の現場から社会学理論をとらえなおす。
以下、本書「特集について」より
一部改変の上抜粋
「生(ライフ)の現場」に立ち会う人たちは、しばしば途方に暮れながら、それでも明日を創るため、なんとかそれなりの形でともに生きていく道筋を探ろうとしている。(略)こうしたとき、社会学理論が役に立つことがある。(略)
ただ、社会学理論が役に立つというとき、実感からすると、役に立つのは、出来上がった結論や、美しく整理された型や体系、あるいは特定の概念そのものではない。(略)むしろ本当に役に立つのは、結論や概念、型に、それらが生み出されるまでの苦闘や模索が編み込まれ、それらとともに理解され直したときである。(略)
特に、安易に共同性を前提とできない現場では、社会学の結論や概念、型を、それらが立ち上がってくるプロセスや磁場のようなものから切り離してしまうと、ほとんど使えないものになってしまう。(略)
多様な「生(ライフ)の現場」でもがく実証研究者たちの視点や知見が取り入れられることは、社会学理論の彫琢にも寄与しうるだろう。(略)―それもまた、もうひとつの共同性の模索なのかもしれない。
【本書の内容】
【以下、本書「特集について」より 一部改変の上抜粋】
「生(ライフ)の現場」に立ち会う人たちは、しばしば途方に暮れながら、それでも明日を創るため、なんとかそれなりの形でともに生きていく道筋を探ろうとしている。(略)こうしたとき、社会学理論が役に立つことがある。(略)
ただ、社会学理論が役に立つというとき、実感からすると、役に立つのは、出来上がった結論や、美しく整理された型や体系、あるいは特定の概念そのものではない。(略)むしろ本当に役に立つのは、結論や概念、型に、それらが生み出されるまでの苦闘や模索が編み込まれ、それらとともに理解され直したときである。(略)
特に、安易に共同性を前提とできない現場では、社会学の結論や概念、型を、それらが立ち上がってくるプロセスや磁場のようなものから切り離してしまうと、ほとんど使えないものになってしまう。(略)
多様な「生(ライフ)の現場」でもがく実証研究者たちの視点や知見が取り入れられることは、社会学理論の彫琢にも寄与しうるだろう。(略)―それもまた、もうひとつの共同性の模索なのかもしれない。
【目次】
【特集】生(ライフ)の現場と社会学理論
特集について
三井さよ
人と「土地」との関わりを考える
――災害と避難・移転の経験から――
望月美希
「生きづらさ」から始まる対話的な場の社会学に向けて
貴戸理恵
「同じ経験」と「違う経験」の狭間に臨むピア・サポート
――更生保護施設および併存性障害者支援施設をフィールドとして――
相良翔
リカバリー・ストーリーの語り難さとピア・サポートの制度化との間で
――高次脳機能障害の場合――
伊藤智樹
【論文】
自己実現と遊び
――「俗=遊複合体」の形成とその問題――
権永詞
アドルノの演劇的社会学序説
――いかにして美的形式に生を語らせるのか――
片上平二郎
アクセル・ホネットの承認論は公共圏からの排除をどう批判するのか
――『自由の権利』における民主的公共圏の展開に即して――
松崎匠
受容されてきた規範を改定すること
――Joasによる説明の検討――
下山颯
湯浴と「副詞化」する自己
――批判的実在論から見た湯と人の構成――
佐藤佑紀
人的資本の主体としての女性
――主体、国家、ケアの矛盾をめぐって――
伊吹美貴子
【書評】
「ルールの科学」におけるルール概念の問題点
(書評対象書:佐藤裕著『ルールの科学』)
小宮友根
多文化主義は常に未完ではないのか
(書評対象書:南川文里著『未完の多文化主義』)
樽本英樹
シュッツ科学論の「転回」を問う
(書評対象書:高艸賢著『シュッツの社会科学認識論』)
木村正人
P・L・バーガー像の刷新
(書評対象書:池田直樹著『ピーター・L・バーガー』)
清水晋作
在宅療養現場での「意識としての身体」
(書評対象書:堀田裕子著『意識としての身体』)
片桐雅隆
流れに抗する思想の系譜としての「質的社会調査」史
(書評対象書:マーティン・ハマズリー著 谷川嘉浩訳『質的調査のジレンマ』)
永田大輔
「消費者」という語に隠された日本リベラリズムの歴史と宿命
(書評対象書:林凌著『〈消費者〉の誕生』)
石川洋行
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編集後記