アメリカ研究 第59号
特集「アメリカとアジア2.0」
編著:アメリカ学会
ISBN:978-4-910603-27-8
【本書の説明】
『アメリカ研究』第59号(2025年)
「世代」を多角的に論じる座談会と、「アメリカとアジア2.0」をテーマとする特集論文を掲載 。
若手研究者が、政治学・文学・歴史学の視点から「世代」がアメリカ社会で果たす役割や、日米関係のあり方を深く掘り下げます 。冷戦期の技術援助、多文化都市の変遷、病の人種化と隔離の歴史、建国期文学における赦しの力学など、多岐にわたる論考を収録 。
現代アメリカの抱える複合的な課題を理解するための必読の書です。アカデミズムの最新知見と、時事的な関心を満たす一冊です。
【本書の内容】
特集:アメリカとアジア2.0
「世代」と「アメリカとアジア」という現代アメリカ研究における二大テーマを深く掘り下げます。
座談会「世代から見えるアメリカ、世代が隠すアメリカ」では、若手研究者4名が結集し、アメリカ社会を読み解く上での「世代」という分析軸の有効性と限界について議論を交わします。特に、政治学・文学・歴史学といった異なる視点から、世代意識の変遷や2024年大統領選挙をめぐる論点を考察。アメリカ社会の分断と連帯の力学を立体的に浮き彫りにします。
特集論文「アメリカとアジア2.0」では、1996年特集以来約30年ぶりにこのテーマを再設定。冷戦期のアメリカによる技術援助が現代の米印関係に与えた影響、多文化都市ロサンゼルスのリトルトーキョーにおけるコリア系コミュニティとの歴史的相互作用、ルイジアナ州カーヴィルにおけるハンセン病の「病の人種化」と隔離の歴史など、アジア系移民とアメリカの関係を、多文化主義の光と影を含めて多角的に分析します。
また、自由論文として建国期アメリカの文学における「赦しと排除」のレトリック**を究明する論考を収録。現代アメリカの抱える複合的な課題を理解するための最新の知見を提供する、アカデミックな深度と時事的な関心を兼ね備えた一冊です。
【目次】
■座談会「世代から見えるアメリカ,世代が隠すアメリカ」
■特集論文:「アメリカとアジア2.0」
冷戦期アメリカの技術援助と「インドのMIT」
―カンプール印米プログラム(1962‒1972)の分析から
下斗米秀之
トランスパシフィック・リトルトーキョー
――再開発期におけるコリア系建築家と企業家多文化主義――
南川文里
カーヴィルのハンセン病ミュージアム
人種化と隔離の語られない記憶
横山佐紀
■自由論文
赦さない者を,赦さない
――キャサリン・マリア・セジウィックの『リンウッド家』に
おける慈悲と排除の建国力学
雨宮迪子
■長文書評
青野利彦『冷戦史(上)第二次世界大戦終結からキューバ危機まで』
『冷戦史(下)ベトナム戦争からソ連崩壊まで』
(中央公論新社,2023 年)
大津留(北川)智恵子
第58回年次大会報告
アメリカ学会著作権ポリシー・『アメリカ研究』執筆要項

